
やわらかに微笑む、小佳女(おかめ)。
口をとがらせてウインクする、
火男(ひょっとこ)。
ふたりは、宇治園の看板を背負うお茶です。
その名前には、それぞれの物語があります。

関西ではまだ、浅蒸しの煎茶があたりまえだった頃。宇治園は、いち早く深蒸し煎茶を売りはじめました。
じっくり蒸した茶葉は細かくなり、見た目が粉っぽくなります。「粉のお茶」と誤解されることもありました。それでも、濃い緑の水色と、まろやかで濃厚な旨みが、少しずつお客様の心をつかんでいきました。
見た目は美人(べっぴん)ではないけれど、味がいい。だから名前は「おかめ」。美人ではないけれど性格の佳(よ)い女、という意味をこめて「小佳女」と書きます。

べっぴんやのーても、
あじのええもんを。
小佳女には、相方がいました。
深蒸し煎茶の「ひょっとこ」です。
鳴り物入りで登場したひょっとこは、
相方おかめの大躍進に押されて、
五年あまりで姿を消しました。

平成5年、小佳女のデザインを新しくしたときに、ひょっとこは帰ってきます。今度はほうじ茶の「火男」として。
心斎橋の本店は、以前から「焙じ茶の良い香りのする店」と言われていました。だから、中身はほうじ茶に決めました。

「火」の「男」と書いて、
ひょっとこ。
ひょっとこは昔から飯炊き男で、いつも薪の火を見ていました。火男の口がとがっているのは、薪に息を吹きかけているしぐさです。中身のほうじ茶も、火加減にこだわって浅く焙じています。

やわらかに微笑むおかめと、ウインクするひょっとこ。平成5年にデザインを新しくしてから、ふたりの顔は宇治園の顔になりました。絵と文字は、当時宇治園の顧問を務めていた綿貫宏介氏によるものです。
袋でも缶でも、ふたつを並べたときの色の相性まで考えられています。いまでは生ショコラなど、宇治園のスイーツにもふたりが登場しています。

お茶は農作物です。同じ産地でも、年によって出来が変わります。小佳女は、全国の銘茶からその年の茶葉を選び、配合を調整しています。毎年の官能検査で確かめて、「小佳女の味」を守っています。
火男は、一番茶の茎を、遠赤外線でじっくり浅く焙じたほうじ茶です。黄金色の水色と、炒りたての香ばしさ、やさしい甘みが特徴です。
